認知機能低下に対する運動は何が有効なのか
【1】運動による認知機能低下予防効果を知りたい人に読んでほしい記事です。
【2】この記事を読むと運動が認知機能に与える効果について知ることが出来ます。
皆さんこんにちは。リハビリ太郎です。
このブログでは、運動や健康、美容などの分野の研究報告などを中心に読者の皆様の生活に少しでも役に立つ情報を発信出することを目的としています。
今回は認知機能低下(認知症)に対する運動の効果に関する情報を発信していこうと思います。
以前も運動によって認知症を予防出来る可能性に関してブログを書きましたが、近年では認知機能低下に対する運動の有効性が分かってきており、運動をすることによって認知症を予防出来る可能性が明らかになりつつあります。
下記に以前書いた運動による認知症予防に関する内容のブログを貼っておきますので、よろしければご参照下さい。
https://blog.hatena.ne.jp/rehabili_taro/rehabili-taro.hatenablog.com/edit?entry=26006613717865363
運動には様々な効果がありますが認知機能にも良い影響を与えてくれます。
さて、運動には大きく分けて、筋力を付ける筋力増強運動と体力を付ける有酸素運動、筋力増強や有酸素運動、バランス運動などを組み合わせた多機能運動があります。
これらのどの運動が認知機能低下に最も有効なのかは少し気になりますねー。
今回は、認知機能低下に対する有効な運動方法を検証した論文を紹介したいと思います。
論文の紹介
今回紹介する研究は、中国のグループが認知機能低下を呈した患者さんに対する有効な運動内容をまとめたメタアナリシスになります。
(Huang X et al, J Sports Health Sci, 11(2), 212-223, 2022)
下記に論文のリンクを貼っておきます。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S209525462100051X?via%3Dihub
論文の内容
73の論文の計5606名が対象となっています。
対象者の方は、軽度認知機能低下患者と認知症患者としており、全て何らかの認知機能低下が生じているような方々を対象としており、どの運動方法が認知機能低下に好影響を及ぼすかを調べています。
また筆者らは、軽度認知機能低下患者と認知症患者それぞれに有効な運動方法も検証しています。
結果
上の図が結果をまとめた表になります。
左のExerciseの欄が運動の種類になります。AEが有酸素運動、REが筋力増強運動、MEが多機能運動になりますが、どの運動方法も運動しない群に比べて認知機能低下予防効果があることが分かりました。
表のSUCRA(%)が高く、Mean rank Pが低いほどより効果的な運動であると解釈できるのですが、この研究の結果では認知機能低下予防に関しては筋力増強運動が最も効果的であるという結果でした。
この結果は対象者全体の話になりますが、患者ごとに見てみると、認知症患者では筋力増強運動が最も効果的であるのに対して、軽度認知症患者では多機能運動が効果的であったとのことです。
病態によって、効果的な運動方法はもしかすると変化するのかもしれませんね。
まとめ
今回紹介した論文からも、何かしらの運動をすることによって認知機能低下を予防することが出来るかもしれないことが分かりました。
特に筋力増強運動がより効果的であるかもしれません(特に認知症患者では有効かも)。
そのメカニズムとしては、筋力増強練習をすることによって、脳の記憶を司る海馬にIGF-1という成長ホルモンの一種が増加することによって認知機能が改善する可能性があるみたいです。(有酸素運動や多機能運動ではこのような現象は認めないとのことです。)
他にも筋トレによって脳や体に様々な好影響を与えることが分かっていますので、それらが組み合わさり、認知機能低下予防に繋がるのかもしれませんね。
筋トレで人生が変わるというのは本当かもしれませんね。笑
やっぱり運動の効果は素晴らしいです。
今日もありがとうございました。